旅の洗礼

よく質問されること、そちらの方面を旅行してお腹や体調をこわしませんか、というところ。
これは身体の相性や運もあるかもしれないけれど、個人的に言えば身体を壊さないでいられた旅はあまりなかった。

私はもともとアトピー持ちで食べ物や外的環境に影響を受けやすい上に身体が敏感だからそれに伴ってストレスも受けやすい。
環境が変わったり何かあると肌がキャッチするので、海外へ行くと一時期は湿疹がでて気持ちはウキウキなようで辛い。
向こうの人は日本人のように気付いていて知らないふりをする、という思いやり文化がないので挨拶の次には私の肌を指摘し、あれがいいこれがいいとアドバイスをくれる。

こちらにすればちょっとかさついている程度であっても。時に親切でありがたく時にうっとうしく、デリカシーないのねと思うけれど、土地が違えばコミュニケーションも変わるわけだから仕方ない。

旅のはじめは落ち着かなくていつも便秘。
便秘の嫌なとこはお腹にたまったところに気がたまっているように気にしすぎてしまう。
あぁ便秘だわどうしましょ、と気にすることが更に便秘を促しているのでは、病は気からとはよくいうもの。

これらは日本に居る時と同じような優れない状態。基本的には風邪や病気で病院に行ったことは大人になってからはない健康児。
だけど、やっぱりあのインドでは洗礼というものがある。
ご飯がスパイスとゆるいカレーなのでお腹がゆるくなるのは(コントロール可能なら)大したことはないけれど、私の場合それまでケロッとしてたのが一夜にして嘔吐と下しの連続が始まってしまう。
それも部屋にトイレがなくてひどいありさまで部屋から共同トイレへ駆け込んだりする始末。
そうなる日は必ずという程、北インドの油分の多いカレーや、デリーで調子にのって外で売っている揚げ物を食べてしまったとき。
デリーの空気に拒絶反応がでることもしばしば。

そういう日は夜、寝ながら消化不良で行き場のない感じがあってちょっとまずいかもな、と思っていると数時間後から津波のように発作のように襲われる。
ある程度中身はなくなると吐き気と消耗しきって使い物にならない身体が残る。それに伴って精神はますます遠いところへ行って孤独を通りこして無反応、虚無というところまで行く。
薬局へ行くのも一苦労。出来ることはじっとしているだけ。
ここまで行くと一皮むけるというか旅の深みと幅はきく。
あまりに禁欲的だけれど、こういうのがお好きな人は藤原新也さんの著作をおすすめしたいと思います。
異国でこれだけ弱ると多くの人は故郷を欲する。
こんな時一番欲しいのはお粥と味噌汁と日本語である私はまだ虚弱な旅人であろうか。