ごま油を使ったマッサージ
マッサージの思い出としてもう一つ印象深いのがやはりアーユルヴェーダ。
アーユルヴェーダというのはインドで古来から伝わりスリランカでも育まれた偉大な生命の教え。伝統医学。
人もそれぞれ自然界の要素を含んでいてその要素の度合によって3つのタイプ、ヴァータ・ピッタ・カパ、風・火・土水というように分けられ、それに見合った処方にスパイスやオイルを使用する。
はじめてのインドでマイソールへ行ったとき。
薬局に行ってアーユルヴェーダのマッサージを受けたい、とどうにか伝えた所、じゃあそこに行きなと名刺をもらった。
リキシャーにのって伝えるとしばらく走って病院についた。
アーユルヴェーダの病院だったのだ。
そのころの私は全てが未知の中のチャレンジだったから全然意味がわからなかった。
だけどついてしまったのだから行くしかない。
外では患者が並んでいて、私もここで待ちなさいということだった。
やっとのことで通されてみると診察室で(当たり前なのだけど)私はあわててアイムヘルシーとかなんとか騒ぎ立てて、私は健康ですから、マッサージがしたいだけなんですと必死に訴えて、確か女医さんだったその人は笑ってわかったわかった、じゃあ向こうの部屋で待ってて、と他の看護婦に連れて行くよう指示した。
そこで数十分待ったあと、自前のパンツ一丁になって石でできたベットの上によこになると看護婦4,5人にセサミオイルでマッサージされる。
望んでいたことだったけど、平な石の上で頭の先から足のつま先までオイルまみれで体がすべって支えられない。
そんな私を見てか彼女たちは終始笑っている、なんともひどいありさま。
一通り終わるとシャワー室でバケツに桶で洗い流れるわけがないけど身体を洗い流す。
そしてスパイスのクセのある味のティーを頂いて終了。
自前のパンツはセサミオイル漬け(その後どうしたかはご想像におまかせ)。
たしかこれで400円もしなかった気がする。
とりあえずおわって一安心、午後にはホテルをチェックアウトして次の町へ移動する予定だった私は急いで宿へ戻って荷物を用意してバスへと乗り込んだ。
隣の席に座っていた中流階級かなという感じの男性がやけに話しかけてくれるのでわかる範囲で接していた。
バスを降りるころになってじゃあと自分の名刺を差し出してきた。
そこにはなんとアーユルヴェーダの医者である彼の名前が載っていた。
私は驚いて実はついさっき病院でマッサージを受けてきたの、と伝えると彼は「知ってるよ、君はセサミオイルの匂いがするから」と言った。
私には「君はごま油くさいから」と言われた気がしてならなく、あぁこのバスの乗客はみんな知ってたんじゃないか、と恥ずかしい想いでバスに揺られ続けた。
旅の恥はかき捨て。他人だらけというのは気が楽なものでもあった。
