ダラムサラの旅路

ダラムサラにまた訪れた時のこと。
タイミングの良いことにダライラマ法王の講和(説法)が行われるというのだ。
それはちょうど北京オリンピック開幕の直前で会ったけれど、基本的に講和は外国人旅行者もパスを作れば参加できる。
もちろん私もパスを作ってその時いた女友達とこぞって参加。

朝、セキュリティのチェックを受けて講和が行われる寺に入ると人チベタン僧侶、一般のチベタン、そして欧米やアジアの旅行客で海上は埋まっていた。
その会の講和は韓国側がサポートしていた為、本堂の中の法王の目の前で説法を聞けるのは韓国人のみ。
あとはその周りから眺めることになる。

法王はチベット語で話し、その後マイクでは韓国後の通訳が、他英語での通訳がラジオで聞けるようになっていた。
ちょうど日本人の通訳の方がいたので私達は日本語で聞くことができた。
三日間の講和はかなりほのぼのとした和やかな雰囲気だった。
ありがたいことに初日の午後からは法王の気遣いで日本人は前に来ていい、と本堂のすぐ脇のスペースをあけてくれたのだ。

みんな座布団を持参してぎゅうぎゅうで座り、講和中もバター茶やチャイやチベタンブレッドが回ってくる。
法王が何か言って会場がどっと沸いたと思えば「えー、今配られたチャイを日本人がこぼしたと言ってます」と法王が日本人席を見て笑ったことを通訳が解説している。
なんともアットホーム。正直話の内容はあまり覚えていない。
ただそこでみんなで座ってみんなが敬愛する彼の話に耳を傾ける、あの一体感に満たされてしまう。不謹慎だけれど彼は活仏でありながら世界のアイドルのようでもあった。彼にはそういう魅力があった。

お昼になると、給食のように大きな鍋でインド式のご飯が配られる。
みんな自分の持ってきた器に入れてもらって美味しく頂く。
三日目は午前中で講和は終わり、午後は韓国人が質疑応答できる時間になっていた。それが同じ仏教徒のアジア人も参加していいという、また嬉しい法王の配慮に預かることに。

アジア人旅行者のほとんどが韓国、台湾、日本だったと思う。あらかじめ紙に書いてだした質問の中からいくつか読まれた。やはり内容は覚えていない。
その後だった。質疑応答の後、最後に国ごとにまとまって記念撮影をすることになった。
どきどきしながらそれとなく法王様に近付くように配置につくと、一番上の中央が彼で、その下にチベット仏教の尼さんの日本人女性、その隣に私は並んだ。
法王様はニコニコ顔で尼さんの坊主頭を撫でている。
パシャっと写真をとりすぐ後ろを振り返るとぎゅっと、二回、強く右手を握ってくれた。その時は嬉しさも感動もなかった。だけど夢とは叶うのだ、と初めて実感した瞬間だった。