バックパック一つで
バックパッカーという響きに今一つしっくりこないまま実際にはバックパックを背負ってほんの少しだけ旅をしてきたわけだけど、思えば自分の荷物をリュックに詰めて身一つで知らない世界へ飛び込んで行く、というのはなかなかロマンチックじゃないかと思う。
だけども実際には選んだ場所的にも起きている事柄もロマンというよりは現実であって、一人で行く上にストイックな性格もあって修行めいたことばかりしていたような気もする。
仕事も友達も家も何も、普段自分を取り巻くものから全て離れて自分と自分の分身でもありえる少しの物というミニマルな世界を味わうのはなかなか貴重で有意義な体験ではある。
おかげで、人生というものに対して、生きるという根本的なことに対してまで考えざる負えなくなってしまった。
いや、これは旅をした人がそうなるわけでない、きっと本来保守的で外からの刺激に弱く真に受けやすい自分のような人間がインドを始めとする強烈な文化に一人で飛び込んでしまったからなんだろう。
全く後悔なんてしていないけれど、あぁ出発してしまった。出発してしまったのだから引き返せない。そんな、気持ちがあるのも否めない。
だけど、今の気持ちがどうであれ、それが果たしてあっているのか良かったのかなんて考えて足踏みしている場合ではない。これでよかったかどうかなんて結局自分一人の気持ちであって、世界は世の中はそんなふうに動いているわけではないと教えてくれたのが旅であって、独りよがりな葛藤を続けて一日中何もしないで過ごしてしまうよりは近くの畑にでも出て種を蒔いたり、ラダックに行って冬の暖房の蓄えとして牛の糞でも拾っている方が遙かに賢いのだと教えてくれたのが旅であって、だけどまたあーだこーだと悩みながら皆今日もそれぞれの道を歩き暮らしを営んでいるのだと、教えてくれたのが旅であったのだから、旅は私の人生そのものに繋がっているのだ。
旅は人生によく似ているとはよく言ったもの。
旅も含めて色んな人に出会う機会に恵まれ、またせっかくだからと出会った人達のことを知ってみようとすると私にとっての旅であるものが、人によってはスポーツであったり料理の世界であったりはたまた信仰という絶対的なものであったりすること知れた。
それはそれは尊敬に値する人が世の中まだまだいるということ、それは世界は数字の尺度で測るよりも限りなく広く面白いということ!
バックパック一つで東京をでて初めて私の中にある好奇心という不思議な力が発揮される、このことを知れただけでも旅をする価値は十分にあった。無関心で生きることほどつまらないものはない。
